セミナーや本、ブログなどで、アスペルガー人の雑談における克服法や問題点の指摘を展開すると、

・無理に定型に合わせる必要はない
・得意分野や他の人間的長所を強調して、雑談を免除(?)してもらう
・雑談ではない、目的志向や知的欲求で占められた会話を好む集団と付き合う

という形にすればよいのではないか、といった感想をもらうことがあります。

半分は、間違っています。

雑談という作業には、

・メタ認知機能 (情緒の安定、否定的思考や記憶からの離脱、計画性)
・注意機能   (集中、傾聴、情緒の安定、継続、否定的思考や記憶からの離脱)
・ワーキングメモリー (作業速度や正確性の向上、話し言葉の理解記憶、継続)
(他にも担う働きは複数あるよ)

といった、アスペルガー人の才能発揮も含めた日常生活全体の質を大きく左右する要素が詰まっており、雑談克服は、それらを改善することに直結し、

結果として

・生きているだけでストレスフル
・この世は、生き地獄の消化試合

といった状況を解消してくれるからです。

雑談克服の本質は、ここにあります。(注意機能とワーキングメモリーとの関係については、アスペルガー人が雑談を克服するために6、7を読んでね。)

それら重要機能の改善や指標として、非常に使い勝手がいい。

だからこそ、雑談の改善が必要となるのです。

注意。

・雑談を完全に克服しなければ、「それらの機能は回復しない=日常の苦労は消えない」というわけではない。
・雑談力が、メタ認知機能、注意機能、ワーキングメモリーの全てを表しているのではない。
・あくまで、多岐に渡る指標の一つである。
・3つの重要機能改善の結果として、雑談改善が行われる面が大きい。
・雑談克服は、ある程度の改善で十分。