発達障害人の多くは、同時並列処理を苦手とします。(Aの作業を記憶、処理している間にBのそれをこなし、またAに戻りやり遂げる、という行為。)
多くの人が、ワーキングメモリの問題であると指摘します。
たしかにそうなのですが、一つ説明が足りていません。
脳の第10野である前頭極にも言及する必要があります。
そこは、同時並列処理の中核なのです。
発達障害人は、前頭極の萎縮を指摘されている。
だから、そういったことを苦手とするのでしょう。(脳は一つのために全体が激しく動くため、一箇所だけでは説明は不可能。あくまでも中心になっている部位であろうという理解で。)
言い換えれば、前頭極を鍛えることで、多少は同時並列処理の不得意さを改善できるのです。
身近で簡単な方法として、ジャグリングがあげられます。
ボイケらの研究によるのですが、
平均60歳の男女93人のボランティアに、三つ玉のジャグリングを3ヶ月ほど練習してもらったところ、以下の変化が認められた。
・灰白質の増大が右脳の18野に認められた
・左の海馬と、左右の側坐核部分での増大が認められた
・左右の「10野」の増大が認められた
もちろん、認知心理学においては、遠転移は賛否両論で議論されています。
(遠転移とは、その行為とはあまり類似性のない機能が開発されること。ジャグリングを練習してジャグリングそのものやボールの受け取りが上手くなるのは近転移。家事の同時並列処理が円滑になるのが遠転移。)
ただ、基本的にはいい結果は得られています。
完全解決は無理ですが、同時並列処理に頭を悩ませている人にとって、行なう価値はあります。(同時並列処理を必ずできるようにしなければならない、という話ではないけれど。)