発達障害人の苦しさの多くは、否定的思考の反芻によって作られています。(もちろん、今、身を置いている現場でも大変になりがりちなのですが)
それにより、極端な情緒不安定に陥るからです。
そこで
・この苦しさを解消したい
・知的欲求が高い
・人間の根源的な仕組みを知るのが好き
などの理由で、心理学を学びます。
科学としての臨床心理であるならばいいのですが、多くの場合、トラウマやインナーチャイルドといった独自見解のそれを勉強します。
すると
・過去に原因がある
・だから、そこにさかのぼることが大切
ということで、過去の否定的な出来事ばかりを記憶として呼び起こします。
たんに思い出すだけならばいいのですが、しばらくしていくうちに、当時の感情がありありと蘇ってきます。
現在の不安定な情緒に拍車がかかります。
しかも
・トラウマは記憶を過ぎ去った出来事として認識できず現在進行形のものとして勘違いする
ことが本質なので、トラウマは再生産されます。
しばらくして、その記憶やトラウマらしきものが消えるならばいいのですが、それは難しい。
事実「インナーチャイルドやトラウマは過去にさかのぼることで解消される系」を信じている人の多くは、いつもウツウツとしています。
トラウマが現在の自分に影響を与えるというのは、ある程度は事実でしょう。
神経科学としても、これからそういったエビデンスが発表されます。
だから、トラウマは扱っていい。
しかし、過去にさかのぼることではなく、思考とフラッシュバックへのメタ認知(客観視)を鍛えることが大前提となります。
この入り口を間違えてしまうと、発達障害人の苦しみは延々と肥大していきます。