単純ウツは、比較的治しやすい疾患ではありますが、再発率の高さが大きな問題となります。

1回発症した人の60%は2回目
2回そうした人の70%は3回目
3回の人の90%は4回目

の率で再発すると言われています。

心理療法の世界においては、否定的認知がそうさせている、という原因設定が主軸でした。(否定的という言葉は適切でない面がある。「偏った」の方が望ましい。)

ただ、ここにきて、否定的認知は

・軽減されているがウツを再発する人
・あまり変わっていないがウツをぶり返さない人

という事例が散見されるようになりました。(栄養や運動、睡眠といった因子は、ここでは考慮しない)

既存の認知療法では説明できません。

原因としては、「認知から生まれる自動思考」を操作する客観性があげられます。

客観性を持っていれば、否定的認知が強かったとしても、そこから生まれる自動思考の継続や感情としての巻き込まれは起こりません。

客観性がない場合、微々たる否定的認知であったとしても、自動思考は延々と増大し精神を破壊します。

ウツを再発します。

認知に幅をもたせていく古典的(?)認知療法は必須ですが、同時に客観性を開発する心理療法が極めて重要となります。

ただ残念ながら、日本の精神医療は前者ですら、扱える人間が不足しています。
余談。

以上の理屈で捉えれば、若干頭の弱いヒーリングやスピリチュアル系のカウンセリングで必ず話題となる

・トラウマやインナーチャイルドがウツを作っているのだから、それを消去しないと回復はしない (否定的認知とトラウマは違う。)

という方略は、根本から間違えている可能性があります。(PTSDやパニック症の元になるような出来事は例外)