まずは「体の感覚に従ってはいけない(18)」を読んでね。

多くの人が、

・ 若いのになぜ?
・ ストレス社会ゆえの問題

といった思考を巡らせます。

違います。(人間関係や仕事の重圧で発生したストレスによる面もあるけどね)

・ 筋肉は、若くても使わなくては急速に衰えてしまうのは当然
・ 脳への適切なストレスがなさ過ぎる社会

だからこそなのです。

では、脳の血流低下から起きる廃用性萎縮を防ぐ代表的な方法に、何が挙げられるのでしょうか。

1・きつめの有酸素運動
2・記憶作業

今回、1はさておき、2について。

知性活動により脳の血流を改善させるためには、複雑な思考実験よりも単純な記憶作業が極めて有効な手段となり得ます。

事実、学生時代の試験期間にさんざん行なった、英単語や漢字を声に出しながら書き取るという手法を被験者に実施すると、脳の血流は多領域に渡り、充実します。

萎縮してしまった記憶に関係した海馬、優先順位や理性などの全体統合に直結した前頭葉が、10~20%ほど回復したという事例も方々から報告されています。

以上を踏まえ、認知症を予防するには積極的に記憶を行なえばいいのです。(繰り返しだけど、認知症の要因は多岐に渡るので、記憶行為は万能ではないよ)

しかし、いくら脳に良いと分かったところで、生活がかかった仕事上の必要性などで追い込まれない限り、ほとんどの人が「記憶」という行為を毛嫌いします。
なるべく、回避しようとします。

なぜなのか。

「体の感覚に従ってはいけない(12)」で、記載した通り、記憶作業は膨大なカロリー消費を伴い、防衛本能に飢餓の恐怖を連想させてしまうからです。

だから、彼は全力で記憶への取り組みを「妨害」しようとします。
しかも、防衛本能は極めて狡猾なので、彼の意図であることは分からないように介入します。

いざ、英単語を憶えるために机へ向かった瞬間、普段は毛頭ほどの習慣になっていない片付けを始めてしまいます。
防衛本能の宿主である人は、自発的な欲求と勘違いしています。

彼の権謀術数にハマってしまっているのです。

続く。