まずは「歪曲された懐古主義として(25)」を読んでね。
では、この年功序列に基づいた終身雇用は、日本の伝統なのかというと、そうではありません。
日本人の多くが、勘違いしています。
国民の気質に基づいた長所であると。
昭和前半までは、転職が当たり前でした。
欧米と、同等以上の活発さがありました。
終身雇用は、昭和40年頃から本格的な普及が始まった、新しい制度なのです。(芽生えたのは、明治後半)
それを強力に押し進めたのは、団塊の世代です。
「わざわざ田舎から東京に来るんだから、身分を保証してよ」と。(もちろん、多数の若者を低賃金で働かせたかった、という経営側の意図も大きい。)
やがて、全国にその仕組みが広がりました。
バブルが崩壊するまでは、成長が全てを吸収できたので、終身雇用といえど、ある程度の移動の自由はありました。
しかし、弾けて以降は、会社務めの人間の全てが、失職の恐怖に曝されることになります。
いよいよ、終身雇用の本領発揮です。
続く。