まずは、「マイナスの症状をプラスに転換する(1)」をお読みください。

発達障害者の多くは、自己肯定感が低く、いつも不安や恐怖にびくびくしています。
これは、脳の器質障害によるもので、セロトニンシステムの働きが定型発達の人に比べて非常に弱いことが原因です。

セロトニンは、睡眠や精神状態に大きな影響を与えるホルモンです。
セロトニンが不足すると、なかなか眠れなかったり、どうしようもなく不安になったり、何事も悲観的に考えてしまったりして、精神的にまいってしまいます。
ひどくなると鬱や精神疾患といった二次障害を引き起こしかねません。

この自己肯定感の低さというマイナス面も上手に活かすことができれば、それは大きなプラスに転じるのです。

というのも、不安というのは、慎重さにつながっているからです。

「間違ったらどうしよう」→ 見直しや点検を念入りにするようになる
「嫌われたらどうしよう」→ 気配りをするようになる
「ダメな奴だと思われたらどうしよう」→ 責任感や仕事の遂行能力につながる

このマイナス面を上手に昇華させて、仕事で高い功績を上げている人はたくさんいます。
仕事が丁寧で緻密、締め切りを守る、細やかな気遣いをする。
もちろん、本人としては多少のストレスを感じているとは思いますが、それを補ってあまりあるだけの社会的評価を得られるのです。

(つづく)

【発達障害とどう向き合うか】(実務教育出版)