お薦めの書籍などを、たまに紹介していこうと思います。

アスペルガー症候群。

子どものころに分かっていれば、それなりの教育環境・家庭環境を整えることもできるのだけれど、アスペルガー症候群というものが日本で認知されるようになってから、まだほんの数十年。

「変わった子ね」で見過ごされ、大人になって情報が整った今、やっと「自分はアスペルガーだったんだ」と気付く。

そんな人も多いと思います。

大人になってからアスペルガーだと発覚した場合、まず読んで欲しい本があります。

大人のアスペルガー


「大人のアスペルガー症候群」(講談社)

図解と端的な説明で、アスペルガーの症状の概要がよく分かります。

また、日常生活で起こりがちなトラブルやそれに対する対策も。

あまり深入りすることのない簡単な解説で、アスペルガーの全体像を掴むのに最適な1冊と言えるでしょう。

とにかく、アスペルガー人は不安や悩みが尽きない。

自分でも把握しきれない正体不明の自分にいつも振り回されています。

・外見から判断できる障害のような箇所は、認められない
・ゆえに、自分がアスペルガーとは気付いていない
・しかし、常に平均的な多数には馴染めず
・劣等感や罪悪感、不安感、恐怖心などの否定的な情緒に苦しめられ
・それらは、生育歴だけに原因を求めても説明はつかず
・周囲に相談しても、「そんなことは誰にだってある」と一蹴され
・他人にとっては当たり前にできることが、努力したとしても一向に身につかず
・にもかかわらず、ある部分においては抜きん出た能力を発揮するという

“不可解な自分”を、抱えているがために。

アスペルガーの症状が強いほど、そして、それに対する本人の不安や恐怖が強いほど、性格や個性よりも症状としての特徴が前面に出ます。

人にとって、防衛本能上、未知=恐怖であり、既知=その解消 という心理構造が成り立ちます。

まずは、不安や恐怖を解消するために、アスペルガーについての知識を蓄積しましょう。

不可解だった自分を、少しずつ理解できるようになっていきます。

もちろん、症状としての特性を知ったところで、改善するわけではありません。

相変わらず、生きづらさは続きます。

しかし、未知=恐怖は、解消されます。

それだけでも、心的な軽やかさを手に入れることでしょう。

こうして初めて、具体的な対処へと乗り出すことができるようになるのです。

※類書
大人になってから初めてADHDだと分かった人には、「大人のAD/HD」(講談社)がオススメです。

 

◆ 吉濱ツトムの本棚 ◆
book_04