アスペルガー傾向の強い子どもは、定型発達の同年代よりも抽象的な指示を苦手とします。

それゆえに、親の「しっかりしなさい」という注意に対応することができません。(子どもは皆そうだけども)

すると、アスペルガー児は

・何も変えようとしない
・やらなくていいことを始める

のどちらかを選択し、親は、その様を観て言うことを聞かない子と認識して激怒します。

アスペルガー児の多くは、定型児よりも叱責に弱いがゆえ、大きな情緒不安定を迎え、しばらくの間引きずります。

一度そうなると、さらに抽象的な指示への応答力は落ちてしまい親を怒らせる言動に至る、という悪循環を起こします。

では、そういった事態を防ぐためには、どうすればいいのか。

抽象的な注意文言を可能な限り具体化する行動的翻訳を採用します。

例え。

最近になってようやく、太陽光線に含まれる紫外線が皮膚に大きな負担をかけることが判明したとする。

そこで、紫外線に気をつけましょう、と呼び掛けても誰も行動に移さない。

どうやって気をつければいいのか分からないゆえ。

だから具体的に伝える。

外出時は

・紫外線フィルターが入ったサングラスをかける
・顔が半分くらい隠れるツバの大きな帽子をかぶる
・長袖を着る
・SPF30 PA++と書かれた日焼け止めを顔全体に塗る
・色の入った日傘をさす

と言えば、実行する人は増える。

家庭内における子どもも同じです。

しっかりしないさい、の代わりに

・家に帰ってきたら、玄関のこの場所に自分の「靴だけでいいから」揃えて
・漫画は「読んだものだけでいいから」この棚に戻して
・風呂前に脱いだモノは「靴下だけでいいから」このカゴに入れて
・夕食を終えたら「箸だけでいいから」台所に持っていって

などと、超スモールステップを前提に伝えます。

もちろん、このように言ってもやってくれない場合が多々あるので、構造化や褒美性を同時に用います。

結果として「しっかりした子が取る行動」は、増えていきます。

親の怒りは減り、誉める機会が増えます。

子どもの情緒は安定し、自信が生まれます。

注意。

親としては、

・抽象的でも分かってほしい
・いや、そんな一つ一つの行動を指しているのではなく、心構えそのものを変えたい

と反論したいはず。

それは間違い。

・具体的に言うことで最終的に抽象対応力が身につく(時間はかかる)。
・心構えが行動を創るのではなく行動が心構えを形成する。

 


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