発達障害という特性を持って生まれた人たちのほぼ全ては、思考や感情を作り出す認知(信念や思い込みのようなもの)が否定的な方向に強く傾いています。
それゆえに、定型発達人であれば中立あるいは肯定的に捉えられる出来事や他人から自分へ向けられた言動を、いちいち否定的な感情で反応してしまいます。
発達障害の知識が普及するここ最近まで、発達障害人はその自分の反応にさして疑問を抱きませんでした。
(とくに正義感の強いアスペルガー人)
しかし、知識が普及するに連れて
・人の感情や思考の状態を決めるのは、本人の認知によるところが大きい
・発達障害人は、どうもその認知が定型発達よりも否定的な方向へ偏っている
・それが、日常生活に不要な苦しみをもたらしている
・だから、認知を改善していく必要がある(否定的認知を減らす、変えるというのは間違い。)
という理解は広がりつつあります。
残念ながら、それを深く認識できた場合であったとしても、自分独りで認知の「幅」を広げていくことは難しい。
第三者の協力が必要となります。
もちろん、認知行動療法を得意とする専門家(日本には少ない。その代わりに世界では効果が完全に否定されている、とくに発達障害においては一切の効果がない傾聴カウンセリングが主流となっている)に頼むのもいいですが、
発達障害人の場合、否定的認知は細かなものも含めれば砂利のように次々と出てくるため、その度に頼ることは難しい。
そこで、頻繁に接触できる情緒の安定した定型発達人が必要となります。
彼らは、認知行動療法の技術や知識がなくとも、発達人が過剰に否定的な捉え方をしてしまう出来事について、何気ない会話の中で新しい肯定的認知を示してくれます。
おまけに専門家にありがちな空理空論ではなく、実生活に基づいています。
彼らと付き合うことで、僕たち発達障害人の日常は少しづつですが、楽になっていきます。
以上を踏まえて、発達障害人は、自分を理解してくれる定型発達人を生涯に渡り大事にすべきでしょう。
(もちろん、「そういう定型を見つけ、繋がり続けることが大変なんだ。」という想いはよくわかる。)