外務省の元役人が書いた、日米近現代史が話題になったようです。

知り合いのアメリカ単一陰謀論者が、ご丁寧にその本を、僕へ「贈って」くれました。

とりあえず、一読しました。

端的には、「戦後の日本は、アメリカに絶対的に支配されてきた完全属国」という内容です。

しかし、資料としては、到底、耐えられるものではありませんでした。

1・アメリカ支配の論拠を、第三者の回想録に大きく依存している。(歴史、政治、外交史の研究と結論を作るうえで、回想録を使うことは許されない)

2・よって、歴史学の訓練を受けていないド素人の信憑性の低い作品である。(素人が、思いつきと主観で科学論文を書くのと同じ)

3・CIAの工作は失敗続きだった、という内容の著書「ティム・ワイナーさんのCIA秘録」を引用しているにもかかわらず、彼のそれの中では、有能な万能集団にすり替わっている。

4・歴史、政治、外交史において、日本の首相が対米追従か否かは、アメリカ以外の国との外交内容を見て、判断しなければならないにもかかわらず、日米の関係だけで決めてしまっている。

5・吉田首相を対米従属の売国奴と批判しているが、アメリカが「強く望んだ日本再独立」を、経済成長優先を理由に断った「反米猛者」の一面がある、ということには、触れていない。(吉田さんは従米でもあり自主でもある)

6・他に間違い40カ所以上

特殊な分析ではありません。

ほんの少しでも、外交、歴史、政治史を勉強すれば、簡単にわかることです。(しつこく、嫌みと自慢、入れておくぜ)

しかし、アメリカ単一陰謀論者は、これらの矛盾と間違いに気づいていません。(ユダヤ、ロスチャイルドといった闇の勢力信奉者も)

それどころか、外務省の元役人が書いたのだから、「正しい」と、「狂喜乱舞」しています。(彼らは、日本が弱いと結論づけられる状況証拠を見つけると喜ぶ。不思議な人種だね。)

アメリカ単一陰謀論は、反知性だからこそできる、「誇大妄想ごっこ」なのかもしれません。