まずは「発達障がいの子の負の特徴を悪化させる母親の共通点(18)」を読んでね。

その会話の流れを根底から支えるのが、解決すべき問題やストレスの枠内で展開される質問と答えの掛け合い(?)です。

子 「忘れ物をしないようにするにはどうしたらいいの」
母 「忘れものをしない教室の友達はどうやってるの」
子 「メモを取ってる」
母 「じゃあ、そうすればいいよね」
子 「メモすることを覚えていられないのだけど、どうしたらいいの」
母 「以前、姿勢を正すことを思い出す合図として、手首に赤い輪ゴムを付けていたよね。それは使えないの」

といった具合に。

こういった会話ができる母親の元で育った子どもは、アスペルガー人であったとしても

・失敗体験の積み重ねによる劣等感
・解決思考の欠落による絶望感

の増長は起きません。

それが「質問に関係のないことを答える」母であれば解決技法は何一つ得られないのですから、変わらず

・幾度となく失敗に体当たりをされ
・自尊心は損傷し
・悩んでいることを思考していることと勘違いし
・自分には答えを導き出す力はないという自身の成長と能力への「諦めを確信し」
・全ての行動は消極的となり
・彼の目に映る世界の大部分が不安に染まり

いよいよ外界との関わりの一切を、拒絶するようになります。

彼の人生の足場は、痛苦と虚無でしかなくなります。

 

 

【発達障害とどう向き合うか】(実務教育出版)